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昭和大学横浜市北部病院消化器センター臨床統計(2001年〜2010年)

臨床統計

昭和大学横浜市北部病院消化器センター臨床統計(2001年〜2010年)

Clinical Statistic of the Digestive Disease Center,Showa University Northern Yokohama Hospital, 2010

2010 年臨床統計の集計協力者
和田 陽子・細谷 寿久・里舘  均・井上 晴洋
若村 邦彦・宮地 英行・池原 伸直・大塚 和朗
山村 冬彦・須藤 晃佑・遠藤 俊吾・春日井 尚

臨床統計総括
Jun-ichi Tanaka:Summary of the 2010 Clinical Data

2010 年1 月〜 12 月の外来者数と入院患者数の変遷と月別を表1,表2 に示した。本年 も例年通りの推移を見せている。当消化器センターは北部病院全体の中でも患者数の比率 が高く,施設,マンパワーの面で苦労が多い。紹介患者や治療困難例も多く,大学病院・ ハイボリュームセンターとしての期待が高い。今後もあくまでも患者さんを中心にしつつ 医療の質量両面にわたる維持が必要である。
上部消化管内視鏡の検査・治療・手術において,2009 年検査数で初めて8,000 件を超え たが,2010 年はさらに続伸し,8,757 件,2011 年は9,000 名を展望できる位置に立ってい る。EMR,ESD ともに順調に数を伸ばしている。特筆すべきは井上教授らが開発した POEM が2008 年に始められ,2011 年10 月段階で計146 例を数えている。他大学,他施 設の消化器科からの紹介患者なども多い。また海外からの見学者もあとを絶たない。 小腸領域は2008 年に始まったカプセル内視鏡検査が図7,8 に見るように急速な増加を 見せている。また,シングルバルーン内視鏡検査は2010 年に80 件を超えた。見学・研修 のために大塚准教授のもとを訪れる内外の医師が絶えない状況である。
下部消化管では2010 年検査件数が7,000 件を超え,過去最高の検査数となっている (開設以来10 年で5 万件超の検査数を数えている)。早期診断・微細診断のもとEMR の 増加は大きい。また注目すべきはESD が100 件を数えたことである(2003 年に1 例経験 し2011 年の今日まで300 件を超えた)。拡大内視鏡,NBI,エンドサイトスコピーを駆使 して診断し,可能な限りminimally invasive な治療を当消化器センターは大方針としてお り,あくまでも偶発症のない治療をめざしつつ細心・大胆に治療方針を実践している。大 腸切除件数は2009 年には356 件と過去最高を記録し全国第5 位にランクされたが,2010 年では手術枠,ベッド・コントロールなど問題があり,統計上は“ひと休み”状態で284 件となった。しかしその件数は全国有数である。また大腸の外科手術は当消化器センター 方針に沿って70 %近くが内視鏡下手術で行われ,そのため他大学や全国から患者さんが 多数紹介されてくる。
肝胆膵領域は,上部消化管・下部消化管に比べると検査・処置数は少ないものの,緊急 時の検査を含めた対応や悪性度の高い疾患に対する高難度手術に対して,高度技能専門医 修練施設でもある当センターは適切に施行している。2010 年の肝胆膵手術症例数は193 例で,2005 年の196 例につぐ2 番目の記録となった。胆摘症例が減少し,増加した症例 は,主に肝胆膵悪性疾患に対する複雑な手術症例であった。大学病院らしい高度な医療を 担う施設として近隣より認知されてきたものと思われる。また,2010 年は腹腔鏡下肝切 除術が一部保険収載され,肝胆膵領域も本格的な腹腔鏡下手術時代の幕開けを迎えた年で あった。現在肝切除の40 %強を腹腔鏡下に行うまでになった。内容的にも,これまで腹 腔鏡下手術の対象にはならないのではないかと考えられがちであった膵頭十二指腸切除や 肝右葉切除といった難易度の高い手術に対しても1 例ずつ行った。(田中 淳一)

表1 消化器センター外来患者数(2001 年〜 2010 年)

表2 消化器センター入院患者数(2001 年〜 2010 年)

図1 上部消化管―検査と手術

図2 胃癌・食道癌手術(開腹・開胸と内視鏡下手術)

表3 食道アカラシアに対するPOEM(per-oral endoscopic myotomy)

図3 下部消化管―検査件数,内視鏡治療,手術数

図4 大腸ESD 件数

図5 大腸癌の治療法

図6 早期大腸癌の治療法

図7 小腸:カプセル内視鏡

図8 小腸:バルーン内視鏡

図9 肝・胆・膵―検査・治療・手術

図10 肝・胆・膵外科手術

図11 年度別手術症例数

図12 臓器別手術の年次推移

注)その他の手術として,開腹虫垂手術12,腹腔鏡下虫垂手術28,ヘルニア7,イレウスなどによる腹膜炎の手術33,GIST8,その他ストーマ関連55(閉鎖36,造設19)であった。