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消化器センターの最近の活動

工藤 進英
昭和大学特任教授・昭和大学
横浜市北部病院消化器センター長
当センターは2001年4月に当院開院とともに発足し、来年で20年目を迎えようとしております。この間、軸保持短縮法による内視鏡挿入、陥凹型大腸癌の解明、拡大内視鏡によるpit pattern診断、超拡大内視鏡によるEC診断の知見などを世界に発信し続けることができております。

ここ数年は、超拡大内視鏡を用いた病理診断予測ソフトウェア「EndoBRAIN ®」の開発と実用化へ向けた研究体制を構築してきました。背景としては、全国的に80%を下回る、現在のわが国における大腸腫瘍の低い診断精度を、AI(ディープラーニング)を活用して飛躍的に向上させるというものです。大腸腫瘍性病変を適切に治療し、大腸癌死亡率減少に大きく貢献できる画期的なシステムですが、当然困難もありました。しかし今流の言葉で言えば教室員ワンチームの奮闘で、大きな前進を見せました。これには国立がんセンターなどの施設、名古屋大学工学部などいくつかの機関との連携の中で、日本医療研究開発機構研究費(AMED)の承認も得ての研究でした。そしてついに2018年12月、この大腸病変のコンピュータ診断支援ソフトEndoBRAIN(R)が高度管理医療機器として承認を取得し、同年3月には薬事承認を得て市販されるに至りました。これまで教室を挙げて進めてきた大腸病変診断は、さらに世界トップの診断学を獲得したことになります。

この成果論文は教室員の森悠一講師らによって世界五大医学ジャーナルのうちの一つ、Annals of Internal Medicine誌に見事掲載されました。また、三澤将史講師らの論文が米国消化器病学会雑誌であるGastroenterology誌に掲載されました。いずれもインパクト・ファクターの非常に高い医学雑誌で、世界的に大きな反響を呼んでいます。このように研究を成功裡に進めることができたのも、関連の皆様のご支援が大きなものであったこと、ここに改めて感謝申し上げます。

その他、当センターでは、研究面では引き続きAMED支援のもとでの大腸内視鏡検診の有効性評価(Akita Study)やAIを用いた大腸病変の発見や潰瘍性大腸炎の活動性評価の自動診断や、大腸粘膜下層浸潤癌のリンパ節転移予測にも研究を進めています。また、大腸癌の中でも転移の可能性の高い陥凹型大腸癌の遺伝子研究も進め、2020年中にはその成果を発表する予定です。その他、AMED関連のみならず科学研究費助成事業においてもいくつかの研究課題を推進しています。

臨床業績については、2018年では、上部・下部消化管内視鏡検査および治療数は昨年から微減となっていますが、相変わらず全国的に症例数の多い実績となっております。肝胆膵系の検査・治療も同様です。当センターへの患者さんの一人一人のご期待に十分応えてきた結果、紹介患者さんが年々増加していると考えています。医局員の奮闘を労いながら、診療実績を今後も積み上げていきたいと思います。

ゼロからの出発、そして今日があります。これまでに当センターに在籍した医師は200名を超え、わが国有数の消化器センターとはなりました。これからも、当センターを日頃から支えて頂いている皆様への感謝の念を胸に刻み、引き続き努力していく所存です。
(2019年10月)

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