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臨床研究内容

日本医療研究開発機構研究費(AMED)医療機器開発推進研究事業 「大腸がん抑制を可能とする、人工知能にもとづく内視鏡支援ソフトウェア」 (主任研究者:工藤 進英)

平成28年からの3年間、AMEDからの支援を受けてスタートした本研究は、医工産公連携という理想的なスクラムを組んで実現いたしました。私は、研究代表者の工藤センター長をサポートする立場として、研究事務局を三澤医師とともに務める機会を頂いております。下記はその概要です。

日本医療研究開発機構研究費(AMED)Medical Artsの創成に関する研究
研究課題名:大腸がん抑制を可能とする、人工知能にもとづく内視鏡支援ソフトウェア
主任研究者:昭和大学横浜市北部病院消化器センター 工藤 進英
事務局担当:昭和大学横浜市北部病院消化器センター 森 悠一・三澤 将史
期間:2016年度 ~ 2018年度
研究費総額:139,815,000円
研究分担施設(臨床):国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、
静岡県立静岡がんセンター、東京医科歯科大学
研究分担施設(人工知能アルゴリズム提供):名古屋大学
研究分担施設(ソフトウェア製造・薬機法承認申請):サイバネットシステム株式会社
研究分担施設(内視鏡機器提供):オリンパス株式会社

本研究全体の最終目的は、超拡大内視鏡(H290ECI, オリンパス社)を用いた病理診断予測ソフトウェア「EndoBRAIN®」の薬事申請を実現することです。平成30年度は研究最終年度であり、その目的は、前年度に実施した性能評価試験の結果をもとに、薬事申請を実施、可能であれば承認取得を目指すことでありました。多施設共同web試験の体裁をとった性能評価試験は、平成29年11月~平成30年4月に実施され、脱落なく終了することができました。結果詳細は別途ご報告することになりますが、Primary endpointは無事達成することができ、この結果を持ちまして平成30年6月18日に、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に薬事承認申請を行うことができ、平成30年12月6日に、クラスIII医療機器として薬事承認を取得いたしました。AI関連医療機器の薬事取得は本邦で初と考えられる大きなイベントであり、国内外から注目を集めました。薬事取得に引き続き、開発物であるEndoBRAIN®は平成31年3月からオリンパス社による販売が開始されました。
本研究は、医工産が緊密に連携した多施設共同研究です。すなわち、機械学習用の画像採取と管理、多施設ミーティングの運営など医局員全員のサポート無しには為し得ないプロジェクトであります。大変勉強になるプロジェクトに関わる機会を与えて頂いた工藤教授、また全面的な支援を頂いた医局員先生方に、深く感謝申し上げます。

―この研究プロジェクトを立ち上げた背景について―
一部の先端医療機関を除くと、内視鏡での腫瘍性病変の診断精度は80%を下回っております。このような低い診断精度では、必要のないポリープ切除が実施されるため医療費が過剰にかかるという問題が蔓延しておりました。この問題点をAIで解決するという目標を掲げた点が本AMEDの原点であります。
本研究が成功すれば、腫瘍性病変を無駄なく全て摘除することが可能となり、これは大腸癌による死亡数減少にも大きく貢献します。Patient careを最も念頭においた研究内容であります。

(森 悠一)

写真 プロジェクトミーティングに於いて