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臨床研究内容

厚生労働省21世紀型医療開発推進研究事業 Japan Polyp Study(JPS)班会議における活動 (主任研究者:工藤 進英)

2013年の癌死亡原因のうち、大腸癌は男性は3位、女性では1位となっております。大腸癌は大腸ポリープに由来しており、腫瘍と非腫瘍に分けられる大腸ポリープの中で、腫瘍の中でも腺腫と呼ばれるタイプのものは発癌の可能性があることが知られております。以前より腫瘍径が10mmを超えるとそのリスクが上昇すると考えられており、切除すべき病変として認識されておりました。一方で10mm以下、特に5mm以下のポリープを全て切除した場合も癌の発生率を低減できる可能性が示唆されており、本活動は国内での検討を行ったものです。大腸ポリープにより、「癌発生率を76~90%抑制できる」「大腸癌による死亡率を半減できる」というデータが既にアメリカにて発表されており。日本でも2003年からJapan Polyp Study(JPS)(大腸ポリープ切除後の大規模追跡調査)として、研究が進められています。JPS は通称で,研究の正式名称は「ポリープ切除の大腸がん予防に及ぼす効果の評価と内視鏡検査間隔の適正化に関する前向き臨床試験」であり,厚生労働省の科学研究費助成のもと,国立がん研究センター中央病院を中心に行われている多施設共同ランダム化比較試験です。当センターも工藤センター長が研究分担者となりJPS グループの一員として症例登録および,班会議での討議に参加しております。
JPS の研究デザインは,有名なZauber,Winawer らによるNational Polyp Study(NPS)を参照しております。具体的には,大腸ポリープを腫瘍径、腫瘍個数に関わらず全て切除(クリーンコロン)にした後に1,3 年後検査群と3 年後検査群にランダムに割付を行います。その後3 年後の両群間のIndex lesion の発生割合を比較し、検査間隔の検証を行います。
2017 年9 月には、JPS におけるクリーンコロン、割付、割付後の1,3 年後検査は全例終了、メインアウトカムの解析も終了し、国際学会や英文論文での公表を準備している状況です。研究からはこれまで不明確であった大腸ポリープに対する検査間隔、治療方針に一定のラインが示されました。即ち「50歳台で一度は大腸内視鏡検査を受けること」、また「大腸ポリープが発見された場合は基本的に全て切除」し、「ポリープを切除した後に3年に1回の頻度で大腸内視鏡検査を受診すること」が推奨されることとなりました。現在の取り組みとしては、遺伝子多型の測定を行い、飲酒や喫煙などの生活習慣と大腸癌発生の関連についても研究を進められています。現段階では禁煙、節酒、食生活、身体活動等の健康習慣を実践することで癌の発生率を低減させることが可能であり、また飲酒や喫煙の影響には個々の生まれつきの体質である遺伝子型が重要な役割を担っている可能性が示唆されております。
当センターでは工藤センター長の指導のもと,森・松平・五十嵐・小倉が,JPS 症例のリクルート・検査・データ管理等を担当しております。現在行っている業務はJPS 研究終了後のコホート調査(JPS コホート)における症例登録・データ管理等です。この研究はこれまで明確ではなかった検査間隔や治療基準を決定する上で重要な研究です。研究にご協力頂いている患者様に感謝し、今後も研究を邁進していく所存です。

(小倉 庸平)