研究Front Line

最先端の臨床研究

2019年度(令和元年度)科研費採択ポリープ自動診断システムによる、
大腸内視鏡診療の変革

森 悠一

本科研費は、人工知能による内視鏡診断支援医療機器EndoBRAINを用いた国際共同研究を実施するために獲得した研究費であります。大腸の腫瘍性病変は摘除が推奨されておりますが、内視鏡での腫瘍/非腫瘍の鑑別精度は80%台に留まっており、不必要なポリープ 切除が横行している現況にあります。われわれは人工知能(AI)を利用することで、この問題を解決できると考え、複数のAMED研究・科研費研究を経て、95%超の感度・特異度で腫瘍を鑑別しうる自動診断システムEndoBRAINを開発・薬事取得にまで至りました。本研究では、国際共同研究という、より厳しい環境下でも、今までに得られた成果が再現されるかどうかを確かめることを一義としております。

具体的には、オスロ大学 (ノルウェー)・キングスカレッジ(イギリス)・昭和大学(日本)での3か国による国際共同研究を立案、実施しております。デザインは、前向きの優越性検証試験であります。主要評価項目を微小腺腫診断における感度とし、大腸内視鏡中に人工知能を用いる場合と用いない場合での診断能の差を評価しております。倫理委員会承認を取得、臨床試験登録をした後(UMIN000035213)に、2019年度始から患者リクルートを開始しており、2020年3月現在で711人の患者集積が終了しております。非常に順調に試験は進捗している状況であります。

本研究は、工藤教授の監督下に、大腸内視鏡疫学研究の世界的リーダーであるオスロ大学のMichael Bretthauer教授に全面的にプロトコル作成から実施まで協力を頂いて成立した研究であります。また、実際の患者リクルートにおいては、若手医師(小倉先生、瀧島先生、望月先生、宮田先生、秋本先生)に多大な御協力を頂いております。忙しい臨床の中に、研究に携わってくださった先生方、継続的なリーダーシップを頂いております工藤教授および研究パートナーである三澤先生にこの場を借りて御礼申し上げます。

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