研究Front Line

最先端の臨床研究

人工知能によるEC-NBIの自動診断・
病変の自動検出に関する研究

三澤 将史

我々の研究成果である超拡大内視鏡のAIによる診断支援ソフトウェアEndoBRAIN®、2018年12月に薬機法承認を取得し、そして、2020年1月にはEndoBRAINシリーズの第2弾であるEndoBRAIN-EYEが薬機法承認を取得しております。EndoBRAIN-EYEはディープラーニングを採用し、大腸内視鏡検査中にリアルタイムで病変検出の支援をするAIであり、このカテゴリでは本邦で初承認です。EndoBRAIN-EYEはその後すでに2度のアップデートを実施し、いずれも薬機法承認を取得しております。2013年よりAIによる内視鏡診療支援ソフトウェアの開発に着手し、当センター長工藤進英の指導のもと、森悠一講師と私が中心となり、医局をあげて本研究を推進した結果で、国際的に注目される成果をあげることができました。なお、医用画像解析の国際的第一人者である名古屋大学情報学部の森健策教授にAIのアルゴリズム開発をご担当いただいており、良好な医工連携により強力なAIを構築しております。

2020年度においては、EndoBRAIN-EYEの新たな機能を追加すべく、森健策教授と綿密に連携しながら地道なAIの学習作業、プログラムのブラッシュアップを図りました。実際のところAIの学習作業などは、かなり地道な作業です。具体的にはAIに学習させるべき画像のふるい分け、タグ付けなどです。これまでに静止画では10万枚、動画では数百時間のデータをすべて人力で行っております。気の遠くなる作業ですが、この作業がAIの性能を決める最も重要な工程になります。最近のトピックスである深層学習・ディープラーニングは数万枚の画像であってもすべて記憶していくことが可能です。したがって、教師データの中に1枚でも誤答が混じっていれば、正しいAIにはなりません。極めて正確な正解データを付与することが優れたAIを作るために必須であります。次なる課題として、エキスパートでないと発見できない、陥凹型腫瘍を安定して検出できるように機能向上を図っています。下の図は、アップデートしたEndoBRAIN―EYEで発見した陥凹型腫瘍の一例です。
教師データとして画像をご提供いただく患者さんは、多くの方が近隣の施設や関連施設からご紹介いただいた患者様です。また医局員の先生方には沢山画像を撮影してデータを蓄えていただいております。この場を借りて皆様に厚く御礼申し上げます。

EndoBRAIN-EYEの概要

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