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臨床研究内容

LST亜分類別の浸潤様式の病理学的検討

側方発育型腫瘍(laterally spreading tumor: LST)は工藤らにより提唱された概念で、世界中で広く使用されている。LSTは10mm以上の側方発育を示す平坦型病変と定義される。側方の大きさと比較して丈が低く、組織学的には腺腫から早期癌までを含み、内視鏡治療の適応となる病変が多い。LSTは、顆粒型(LST-G)と非顆粒型(LST-NG)に大きく分かれ、前者は顆粒均一型[LST-G(H)]と結節混在型[LST-G(M)]に、後者は平坦隆起型[LST-NG(F)]と偽陥凹型[LST-NG(PD)]に亜分類される。各々、臨床病理学的特徴が異なり治療方針の決定に注意が必要である。以前はLST-G vs LST-NGの2分類での比較が多かったが、近年LSTの4亜分類の重要性の認識が広がり、4亜分類別での報告が増加傾向である。当院での豊富なLST病変を用いて、LST 4亜分類別のT1癌症例でのSM浸潤様式の比較検討を行った。
2007年1月~2017年6月まで内視鏡的もしくは外科的に一括切除(EMR/ESD/外科手術)されたT1癌のLSTは267病変でありこれを対象として検討を行った。LST-G(M)では結節下もしくは結節外の1箇所のみでのSM浸潤が92.1%(70/76)とほとんどを占めた。LST-NG(PD)では、T1癌率が突出して高いことに加え、2箇所以上でのSM浸潤(multifocal invasion)を来す病変の割合が46.9%(45/96)と高率であった。これは、同じ非顆粒型であるLST-NG(F)の2箇所以上での浸潤が11.8%(11/93)であることと比較し有意に高かった。LST-NG(PD)のmulti focal invasionまた、LST-NG-PDで1箇所のみの浸潤の場合、SM高度浸潤を来す病変の割合がLST-NG(F)よりも有意に高く(66.7% vs 54.9%)、LST-NG(PD)の悪性度の高さが際立った結果となった。今後の展望として、内視鏡像との対比や、他因子との関連、遺伝子解析等が挙げられる。

(石垣 智之)