研究Front Line

最先端の臨床研究

Oslo studyについて

森 悠一

2019年2月より2021年4月にかけて、オスロ大学・昭和大学・キングスカレッジの3施設の国際共同研究が立ち上がりました。本研究は、人工知能による内視鏡診断支援医療機器EndoBRAINに関する評価試験であります。大腸の腫瘍性病変は摘除が推奨されておりますが、内視鏡での腫瘍/非腫瘍の鑑別精度は80%台に留まっており、不必要なポリープ 切除が横行している現況にあります。われわれは人工知能(AI)を利用することで、この問題を解決できると考え、複数のAMED研究・科研費研究を経て、95%超の感度・特異度で腫瘍を鑑別しうる自動診断システムEndoBRAINを開発・薬事取得にまで至りました。本研究では、国際共同研究という、より厳しい環境下でも、今までに得られた成果が再現されるかどうかを確かめることを一義としております。

具体的な研究デザインは、前向きの優越性検証試験であります。主要評価項目を微小腺腫診断における感度とし、大腸内視鏡中に人工知能を用いる場合と用いない場合での診断能の差を評価しております。倫理委員会承認を取得、臨床試験登録をした後(UMIN000035213)に、2019年度始から患者リクルートを開始しており、2021年4月現在で1,200人の患者集積が終了しております。非常に順調に試験は進捗している状況であり、近々にリクルートを終了し、結果の解析に入る予定であります。

本研究は、工藤教授と、大腸内視鏡疫学研究の世界的リーダーであるオスロ大学のMichael Bretthauer教授の全面的な協力下にプロトコル作成から実施までを共同で実施した研究であります。また、実際の患者リクルートにおいては、多くの若手医師に多大な御協力を頂いております。忙しい臨床の中に、研究に携わってくださった先生方、継続的なリーダーシップを頂いております工藤教授および研究パートナーである三澤先生にこの場を借りて御礼申し上げます。

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