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臨床研究内容

陥凹型大腸癌のMSI status加藤 一樹1), 工藤 進英, 神山 勇太, 小川 悠史, 工藤 孝毅, 一政 克朗, 宮地 英行, 澤田 成彦, 増田 隆明2), 三森 功士1)昭和大学横浜市北部病院消化器センター
2)九州大学病院別府病院外科

近年, 大腸癌に対する新たな薬物療法として免疫チェックポイント阻害薬(ICB)が注目されている. ICBは免疫原性の高いdMMR/MSI-H大腸癌(全大腸癌のおよそ10%)に有効性が示されているが, pMMRまたはNon-MSI-H大腸癌に対しては無効とされている.
大腸癌の発生経路は腺腫が癌化するadenoma-carcinoma sequenceや鋸歯状病変から癌が発生するserrated pathwayなどが挙げられるが, dMMR/MSI-H大腸癌はserrated pathwayから主に発生すると考えられ,鋸歯状病変由来の大腸癌に対して ICBの効果が期待される. 当教室が長年テーマとしている陥凹型大腸癌は正常粘膜から直接発がんするde novo経路を辿ると考えられるが, その分子生物学的な背景は未だ解明されておらず, ICBの有効性についても不明である.
当教室は2016年より九州大学病院別府病院外科と陥凹型大腸癌の発癌機序の解明に向けて共同研究を開始している. その共同研究の一環として, 2010年1月から2013年12月の4年間に当院で外科的切除を行ったT2大腸癌を対象に陥凹型と隆起型, その他(陥凹型か判断がつかない症例を含む)の3群に分け, 陥凹型と隆起型のMSI statusについての検討を行った. 癌や炎症性腸疾患の既往などを除いた全107例のうち, 陥凹型は30例, 隆起型は27例だった. 臨床病理学的特徴では陥凹型で有意に最大腫瘍径が小さく, またリンパ管侵襲も多かった. ミスマッチ修復タンパクの免疫染色でMSI statusを判定したところ, 陥凹型は0/30例だったのに対して, 陥凹型では3/27例でMSI-Hと判断された(p<0.01). 以上の結果から陥凹型大腸癌に対してICBは効果が乏しいことが予想された. さらなる研究として, 遺伝子発現を元にした大腸癌サブタイプ分類(Consensus Molecular Subtypes)も報告されており,そのサブタイプ分類を基に 分子生物学的な側面から陥凹型大腸癌の悪性について検証していく予定である.

(加藤 一樹)