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臨床研究内容

小型大腸T1癌の臨床病理学的特徴について

大腸T1癌は約10%にリンパ節転移を認めるため、その治療法選択に関しては細心の注意が求められる。拡大内視鏡や超拡大内視鏡を用いたT1癌の深達度診断精度は向上しているが、内視鏡治療による完全摘除が可能とされる10mm以下の小型T1癌の取り扱いは日常臨床において意見が分かれるところである。即ち、小型T1癌は内視鏡治療が選択されやすい傾向にあるが、>10mmと比べてその悪性度は明らかにされていない。小型T1癌の臨床病理学的特徴を抽出すべく以下の検討を行った。対象は2001年4月から2018年2月に当院で内視鏡的もしくは外科的に切除された大腸T1癌1153例(進行癌合併例、家族性大腸腺腫症例などは除外)。症例を腫瘍径別に2群(≦10mm、>10mm)に分けて、臨床病理学的特徴(年齢、性別、肉眼型、腫瘍局在、初回治療法、SM浸潤度、組織型、リンパ管侵襲、静脈侵襲、簇出、PG(polypoid growth)、腺腫成分、リンパ節転移)について両群を比較し、10㎜以下の小型T1癌の臨床病理学的特徴を抽出した。10mm以下の小型T1癌は179例(15.5%)であった。小型T1癌は>10mmのT1癌に比べ、陥凹型腫瘍の割合が有意に高く(≦10mm 46.9% vs. >10mm 20.1%、p<0.01)、腺腫成分(≦10mm 29.0% vs. >10mm 42.6%、p<0.01)、PG(≦10mm 46.4% vs. >10mm 64.9%、p<0.01)の割合が有意に低い結果が得られた。初回治療法では小型T1癌において内視鏡治療が選択される割合が有意に高かった(≦10mm 72.1% vs. >10mm 59.8%、p<0.01)。また、リンパ節転移率に関しては両群に有意差は認めなかった(≦10mm 12.4% vs. >10mm 10.8%、p=0.64)。このことから小型T1癌は陥凹型腫瘍の割合が多く、初回内視鏡治療が選択されやすい傾向にあるが、10mmを超える病変群と同等のリンパ節転移率と脈管侵襲陽性率を有しており、慎重な治療法選択が望まれることが分かった。今後も大腸T1癌の取り扱いについて、様々な視点から検討していきたい。

(高階 祐輝)