研究Front Line

最先端の臨床研究

拡大機能付きシングルバルーン
小腸内視鏡検査の臨床応用

小形 典之

近年、バルーン内視鏡とカプセル内視鏡の開発により、日常臨床において小腸の観察が可能となっております。大腸を始め咽頭、食道、胃において拡大内視鏡観察の有用性がすでに報告されています。オリンパス社より拡大観察可能なシングルバルーン小腸内視鏡が開発され、プロトタイプ機を当院にて臨床使用を行ったので報告させていただきます。 この内視鏡は80倍までズーム拡大が行え、先端径は通常型より若干太く9.9mm径となっています。

128症例で拡大機能付きシングルバルーン小腸内視鏡を用いて検査を施行しました。そのうち、18症例で小腸腫瘍性病変を認め、拡大内視鏡観察を行いました。腫瘍性病変の内訳は、原発性小腸癌4症例、転移性小腸腫瘍1症例、悪性リンパ腫4症例、GIST3症例、カルチノイド1症例、過誤腫性polyp 4症例、血管性肉芽腫 1症例でありました。様々な腫瘍性病変の拡大観察により、上皮性病変と粘膜下腫瘍性病変との鑑別に有用であった症例を認めました。

拡大観察により診断に有用な症例が存在し、拡大機能付きシングルバルーン小腸内視鏡の登場により、小腸病変においても拡大観察が可能となり、診断の向上に役立つものと考えられました。今後も症例の蓄積をしてきたいと思います。

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