研究Front Line

最先端の臨床研究

Wavy Cap Study

豊嶋 直也

大腸癌の治療においてなにより重要であるのは早期発見であります。そのためには内視鏡検査が不可欠であり、多くの大腸内視鏡修練医が必要とされております。しかし大腸内視鏡挿入技術の習得は難しく多くの経験を要すると言われております。当院も毎年多くの先生方が入局しており、内視鏡専門医を目指し日々鍛錬を重ねております。当院では研修を開始した2週間は検査見学をし、その後にはすぐ大腸内視鏡検査の実践が始まります。挿入開始し15分で入らない、もしくは患者さんが疼痛を訴えた場合は上級医が手を変えて挿入し、なぜ入らなかったか指導をしております。多くの修練医を指導しておりますが、より早い上達の方法をと考え工藤センター長が考案したwavy capを用いることにより、より早い上達が望めると考えました。

我々は大腸内視鏡修練医の大腸内視鏡挿入技術習得におけるwavy capの有効性を評価するために前向き研究を行いました。初級医を、内視鏡にwavy capを装着する「キャップ群」と装着しない「非キャップ群」の2群にランダムに分け半年間の内視鏡技術の上達(盲腸到達率、挿入時間)を評価したところ、初級医の大腸内視鏡挿入技術獲得においてwavy capを用いることにより、挿入率が上がり、また挿入時間も短縮できることが示唆されました。

コロナ禍で大腸癌含めがん検診が遅れておりますが、本邦においてコロナより癌で亡くなる方が圧倒的に多い現状に目を向けて、今後も増加が予想される大腸癌の治療の需要に応えることが求めれております。大腸癌診断には内視鏡検査が必須であり、そのためには患者さんにより楽な内視鏡検査を提供することが重要であり、より多くの内視鏡専門医の育成が必須と考えております。今後もより効率的な内視鏡技術の向上のため方法を模索していきたいと考えております。

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