研究Front Line

最先端の臨床研究

肝胆膵外科の展開

榎並 延太

肝胆膵領域においては、一般に侵襲が高く、開腹手術であれば切開創も比較的大きくなる傾向にあると考えられています。さらに、一度合併症を発症すると、入院期間も長くなる傾向にあり、時には生命予後に関わる事態となることも予想されます。これらを克服すべく、術前の3Dシミュレーションや3Dナビーゲーションを駆使することで、術前術中の手術支援を行なってきております。これらの技術は、旗の台、消化器・般外科協力のもと、腹腔鏡下肝切除に実際に応用しながら、手術を施行しております。

今年の4月からは、手術室には赤外光観察に対応した新たな外科手術用内視鏡システムを導入して頂きました。これによって、腹腔鏡下手術では、常時、術中ICG蛍光法による胆道造影が可能になり肝胆膵手術の中で、最も多い、腹腔鏡下胆嚢摘出術に応用することができます。腹腔鏡下胆嚢摘出術においては、これまで、肥満は術後合併症のリスクにはならいといった臨床研究結果を報告してまいりました1)が、この手技に関しても近年のトピックになっており、今後の研究としてまいりたいと思います。

当センターは大腸癌のハイボリュームセンターであることから、肝切除症例では肝細胞がんと比較して、転移性肝癌が多くなっております。これらの肝切除症例はもちろん、膵、胆道疾患においてもシミュレーション、ナビゲーション、ICG蛍光法技術を応用しながら、合併症なく、腫瘍学的にも十分な手術を心がけていきたいと考えております。

臨床においては、当センターは、診断から手術までスムーズに移行できるところが特徴であります。今後とも地域医療に貢献できるように尽力してまいりますので、宜しくお願い致します。

1)Enami Y, et al. Obesity is not a risk factor for either mortality or complications after laparoscopic cholecystectomy for cholecystitis. Sci Rep. 2021 Jan 27; 11(1):2384.

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